約 1,837,586 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/41.html
彼女の答え ◆Y3PBSdzg36 「これが私の機体ね…」 カティアはそうつぶやくと機体を調べ始めた しばらくして、 「これは!?」 この機体、VF22S・Sボーゲル2Fには反応弾つまり核兵器が搭載されていたのだ とりあえず持っていることで相手の戦意削減にもなるが… (できれば使いたくはないですね) 次に索敵をして敵がいないことを確認して考えをまとめようとする (統夜たちが無事でいて欲しいけど…) しかし、これは殺し合いなのだ 最後に立っているのは一人なのだ だが… (私は、殺せない) (他に方法はないけれど、私は逆らってみせる) 仲間を集めゲームを脱出する、それが彼女の出した答えだった (だけど… あの場所で見た統夜は何かが違っていた いまの明るい統夜じゃなくてまだ最初のとき、戦うのを拒絶していたころのような…) 「…とにかく仲間を見つけることからはじめましょう」 彼女は行動を開始した 【カティア・グリニャール 搭乗機体:VF22S・Sボーゲル2F(マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:E-2 第一行動方針:仲間を集める 第二行動方針:統夜、テニア、メルアを見つける 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【初日 12 25】 BACK NEXT 邪龍空に在り 投下順 花言葉は「勇敢」 無題 時系列順 純真なる抗体、真紅の悪鬼 BACK 登場キャラ NEXT カティア 追悼
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/198.html
キャラ別追跡表 投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 参加者名 登場回数 登場話一覧 相羽 シンヤ 8 025、049、053、065、075、076、103、109 アイビス=ダグラス 20 014、034、066、082、093、108、117、120、130(1)(2)(3)(4)、158、168(1)(2)、173、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、194、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) アスラン=ザラ 5 037、055、060、080、101 アムロ=レイ 20 010、028、046、071、082、093、112、120、124、134、143(1)(2)、148、158、168(1)(2)、173、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、180、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4) アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ 5 003、029、071、094、102 宇都宮 比瑪 14 004、045、067、077、105、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、146、153、157、165、170 エクセレン=ブロウニング 1 000 オルバ=フロスト 12 020、045、067、077、105、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、151、156、161 ガウルン 23 015、059、073、078、099、111、115(1)(2)、122(1)(2)、130(1)(2)(3)(4)、143(1)(2)、148、150(1)(2)、155、166(1)(2)、170、174、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、181(1)(2)、184、187、192、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) カズイ=バスカーク 8 008、026、043、068、072、088、104、113 カティア=グリニャール 3 018、039、074 カテジナ=ルース 6 015、057、073、101、108、125 兜 甲児 20 019、045、067、077、105、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、146、153、157、159、163、173、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4) カミーユ=ビダン 25 026、043、068、072、088、110、119、121、125、126、133、140(1)(2)、152(1)(2)、160(1)(2)、167、168(1)(2)、173、、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、180、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、194、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) 神名 綾人 3 011、040、064 ガロード=ラン 18 009、027、041、062、066、102、118、124、134、143(1)(2)、146、153、157、165、170、174、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) 木戸 丈太郎 2 023、049 ギム=ギンガナム 11(12) 005、036、047、062、066、100、112、114、120、124、130(1)(2)(3)(4)、180 ギャリソン時田 4 015、057、073、078 キョウスケ=ナンブ 22 000、042、063、070、088、104、113、121、125、126、133、137、147、152(1)(2)、160(1)(2)、161、172、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、181(1)(2)、186、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4) キラ=ヤマト 23 000、012、052、077、086、091、095、098、106、110、115(1)(2)、122(1)(2)、127、136、149、158、168(1)(2)、173、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) クインシィ=イッサー 18 003、027、041、062、066、102、118、123、134、143(1)(2)、146、153、157、165、170、174、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) 九鬼 正義 4 033、060、080、097 グラキエース 8 003、029、071、094、100、107、123、130(1)(2)(3)(4) グ=ランドン・ゴーツ 1 022 クルツ=ウェーバー 8 003、029、071、094、102、109、120、130(1)(2)(3)(4) ゴステロ 4 026、044、093、112 紫雲 統夜 28 002、038、054、062、066、083、107、125、129、138、143(1)(2)、146、148、150(1)(2)、155、166(1)(2)、170、175、178、、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、181(1)(2)、184、185、192、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、194、195(1)(2)、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) シャア=アズナブル 7(8) 010、028、046、071、082、093、108、(112) シャギア=フロスト 22 020、045、067、077、105、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、146、153、157、165、170、174、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) ジョシュア=ラドクリフ 3(4) 014、034、066、(094) ジョナサン=グレーン 11 012、052、077、086、091、096、118、123、134、143(1)(2)、146 神 隼人 3 024、066、102 ゼクス=マーキス 7 026、043、068、072、088、104、113 ソシエ=ハイム 21 016、065、075、076、090、092、106、110、115(1)(2)、122(1)(2)、127、136、149、156、166(1)(2)、171、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) 孫 光龍 7 017、028、047、069、087、097、104 テンカワ=アキト 32 001、032、035、058、064、075、076、099、111、115(1)(2)、116、129、133、137、147、152(1)(2)、160(1)(2)、162、163、169、176、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、184、187、188、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、194、195(1)(2)、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) 巴 武蔵 9 021、051、074、084、098、106、110、115(1)(2)、122(1)(2) 流 竜馬 12 022、056、075、076、102、109、123、131、139、140(1)(2)、142、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) 熱気 バサラ 21 037、059、073、091、105、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、146、153、157、165、170、174、177、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) バーナード=ワイズマン 13 013、042、048、061、081、097、104、121、128、131、140(1)(2)、152(1)(2)、160(1)(2) ヒイロ=ユイ 7 031、050、055、060、080、097、104 フェステニア=ミューズ 25 000、022、051、074、084、098、106、110、115(1)(2)、122(1)(2)、135、145、151、156、161、167、170、175、178、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、181(1)(2)、184、187、192、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) ベガ 14 007、030、044、063、070、088、110、119、121、128、131、139、140(1)(2)、152(1)(2) ベルナルト=モンシア 5 013、050、061、097、104 マサキ=アンドー 9 008、026、043、068、072、092、106、110、115(1)(2) ミスマル=ユリカ 10 001、032、035、058、064、075、076、090、111、115(1)(2) メルア=メルナ=メイア 2 000、022 ユウキ=コスモ 5 000、015、057、073、091 ユーゼス=ゴッツォ 26 000、007、030、044、063、070、088、110、119、121、128、131、140(1)(2)、152(1)(2)、160(1)(2)、162、163、169、176、178、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、184、187、188、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) ラクス=クライン 2 000、031 リリーナ=ドーリアン 5 033、053、064、075、076 レオナルド=メディチ=ブンドル 19 006、035、068、072、089、112、120、124、130(1)(2)(3)(4)、132、148、157、159、163、173、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、182、183、189(1)(2) ロジャー=スミス 26 000、033、053、064、075、076、085、103、111、115(1)(2)、122(1)(2)、127、136、149、156、166(1)(2)、171、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)182、183、189(1)(2)、190(1)(2)(3)(4)、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、194、195(1)(2)、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) 主催・司会進行 登場回数 登場話一覧 ノイ=レジセイア 6 000、154、160(1)(2)、191、194、196(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) アルフィミィ 16 000、079、115(1)(2)、116、140(1)(2)、141、144、154、160(1)(2)、164、179(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)、181(1)(2)、185、191、192、193(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/357.html
排撃者――裏 ◆ZqUTZ8BqI6 「はじまりましたの……」 デビルガンダムの中、アルフィミィは、圧倒的強さでインベーダーを破壊するガウルンたちの様子を観測し独りごちた。 世界に溢れたインベーダーの最中、なお彼女のそばには静寂がたたずんでいる。 夕焼けの赤を全員に浴びた液体が照り返すことで、血のような色に輝くデビルガンダム。 彼女は、今実験の箱庭の中にいた。 目的は、たった一つ。インベーダーの排除だけ。 この事件が起こり、ようやく眠るレジセイアから届けられた意識。 それは、『現状を維持、インベーダーを排撃』というものだった。それ以外は、何度問うてもなにも返ってこなかった。 ゲームマスターの任を一時凍結する事になっても、不確定要素の排除を行うようにとデビルガンダムを受け取った時に続き、二度目の命令だ。 彼女は、たった一言で表せる命令を聞き、こうしてついに会場に出向いてる。 この意識が届いたのは、実は、ガウルンが来る直前のことだ。だからこそ、彼女は今までできなかった機体の授与を行ったのだ。 あそこでデモンストレーションとして首を一つ飛ばすのは最初から決定していた。 つまり、本来支給される予定の機体とはいえ、必ず一つあまるのは分かっている。つまり、必然生まれるはずの余剰だった。 それを、ああも堂々と支給できたのは、この命令があったからこそ。 もっと強力なものの支給を、とも思ったが、レジセイアは『現状の維持』も求めているのだ。 以前として越権行為はできない。個人的な肩入れはせず、可能な限りこのままインベーダーを排除しなければならない…… そんな矢先たどり着いたのがガウルンだ。 彼は、インベーダーがなければ、本来彼女の領域に来ることもなかった。 あの場で首輪の爆破も思わないでもなかったが、元をたどればインベーダーが原因。 インベーダーの影響は、受けてはならない。そして、インベーダーを排撃しなければいけない。 その二つの妥協点……それがガウルン相手に行った取引なのだ。 これでも、レジセイアの不興を買い、アルフィミィ自身に処罰を受けてるのではないかと恐れていたくらい。 ここに彼女がいるのもそのため。 一応再度隠ぺいを施し、インベーダーの再流入は防いでいるとは言え、あまりにも多すぎる。 直接、自分も繰り出す必要があった。 レジセイアの意識を害することないよう公平さを保つ――誰にも消して見つかってはいけない。 インベーダーを排除しなければならない――直接会場に行かねばならない。 そして、さらにゲームマスターとしての役目もある。 その、結果。 「全部やらなきゃいけないのがつらいところですの……」 理不尽に思う部分もあるが、それでもやるしかないのだ。 「それにしても……空間の穴は直さないのにインベーダーだけは駄目……いったいどういうことですの?」 ふと、レジセイアのやろうとしていることに疑問を感じた。 空間の穴は塞ごうとせず、何をしても傍観を保つレジセイアが、インベーダーだけは拒否したのだ。 空間の穴だけ必要で、インベーダーは不要……ということなのだろうか? 「まあ、いいですの」 そう言って、ちらりと視線を下におろす。 そこにあるのは、死骸、死骸、死骸。 足もとにうず高く積まれたインベーダーの死骸は、完全に生命を終わらせられ、ぴくりとも動くことはない。 唯一、この世界の全てを知覚することを許される存在である彼女は、空を眺め目を細める。 彼女が見るのは、たった一か所。もはや廃墟となった基地エリアだ。 基地もここと等しく、動くものはない。 あらゆるインベーダーが圧倒的力で噛み潰され、撃ち貫かれ、殺戮された。 では――その殺戮者は今どうしているか? ―――フフフ………ハハハハ………… アルフィミィの頭に反響する魔王の笑い声。 嘲笑が、風を切りふりまかれる。基地から、ではない。別所からだ。 彼の者が、インベーダーにより覚醒し、闘争を求めて動き始めた。 ひたすら、目に映るインベーダーを砕き、突き進んでいる。 アルフィミィが純化したキョウスケを放置していた理由に、基地から移動しなかったからというのがある。 干渉できないこともあったが……定められた箱舟の中の戦いをかき乱す不穏分子も、他者と遭遇しなければ当面何の問題もない。 偶然も絡むが、オルバ・フロストとフェステニア・ミューズ以後は、誰も基地へ訪れ接触することなく、 キョウスケ自身も動くつもりはなかった。 だというのに。 各所の参加者たちの思念をアルフィミィは追う。 最後にこの箱庭から切り離された者たちを除き、現在まで誰一人として欠けていない。 流石は選別を経て選らばれ、さらにここまで生き足掻いてきた者たち。インベーダー如きの不確定要素で命を落としたものはない。 そうであるべきなのだ。この戦いはあくまで中で生き抜くものだけで行われるべき閉じた儀式。 それを干渉するゲッター線も、インベーダーも、そして……………も、等しく不要。 言うならば、完全なる静寂にも似た調和のとれた世界を犯すウイルスであり巨大な歪みのようなものだ。 だが、しかし。 結果的にあれの移動は都合がよかったのかもしれない。 インベーダーの襲来という事実を見せつけられては、殺し合い自体を放棄しようという心理も生まれる危険がある。 インベーダーなど関係ない、自分は絶対に管理者側に屈しないと豪語するもの、 最初から管理者の都合など知らない、成すべきこと成せればいいというもの、 そんな参加者ばかりだから今更とはいえ、それでもこの殺し合いへの意識において歪みが生じることは考えられる。 それを叩きなおすため、参加者同士のつぶし合いであることを自覚させるため、必要なのは他者を殺す意識を持つ参加者だ。 いまや亜種ともいえる存在だが、あれも元をたどれば参加者そのもの。 歪みを是正するために、さらなる歪みを利用する。危険すら孕んでいる方法だが、確実でもある。 「ん……っ」 ビクリ、と小さくアルフィミィの体がはねる。 世界に繋がれたが故、世界の一部のたわみがフィードバックされたためだ。 インベーダーなどが流入したような不快な感覚ではない。 むしろ、どこか温かいような、ふわふわしたような、なんだか不思議な感覚。 感覚の元を探せば、そこにはとある機体が、別の機体を持ち上げていた。 一体何かと食い入ってみるように、そこの場所に感覚を集中させる。 その中の一機が放つ、温かい光。持ち上げられた機体が光の中溶けて行く。 そして――ものすごいのが来た。 「あ……っ ん、ぁぁぁあああああああ!?」 世界を塗りつぶす光量。その光が放たれた瞬間、インベーダーたちは限界を超えたイノチの力を受けて膨張、消失していく。 静寂を保つため、徹底して人の心など、『雑味』を排除して作られた世界に、物理的に転化したイノチの光が差し込んだ。 それは、繋がっていたアルフィミィの心にも刺し込む。 いままで、人の意思という一切の汚れを許さなかった場所に、光の柱が入れられた。 初めてのその出来事が、接続に伴い流れ込む。 体が火照り、一種性的な感覚すら含む高揚が、体を包む。頭に火花が何度となく弾けた。 力を体から奪う突然の出来事に、自分を支える触椀に体を預け、荒い息をする。 「すこし……おどろきましたの……」 まだ、どくん、どくん、と鳴る胸を押さえ、改めて何が起こったのかを確かめる。 「……え?」 光の爆心地から意識を広げ、全体を確かめた直後、感じる違和感。 会場全体のインベーダーが、減っているのだ。それも、かなりの数が。 いったい何が起こったのかと、感覚を研ぎ澄まし全体を把握する。 そして、彼女も理解した。 個体として力を保っていなかったインベーダーが、すべて蒸発してしまっているのだ。 機械や、施設とは融合することで大きな力を生むインベーダー。 無論、何割かは個体として群れなして移動し、生贄たちを襲っているが、 大多数のここに来たインベーダーは融合という手段で己を強化しようとしていた。 そのため一度体を解き、液状化や個々としての意識を落としていた矢先に、あれだけの人のイノチを込めた輝きが世界を照らしたのだ。 着て時間ももほとんど経っておらず、融合の最中にあった以上、ひとたまりもないだろう。 周囲のインベーダーを全滅させただけでは飽き足らず、その余波は会場全体にまで目に見えない形で炸裂したいたのだ。 そんなありえないですの、とも思うが、 物理面ではなく、アストラル的、オーガニック的な意味において、あの輝きが特別な意味を持っていたことは、自分の胸に聞けばわかる。 今でも、まだ高鳴りがおさまらないくらいなのだ。 インベーダーが施設に巣食い、もしも強化を繰り返せば、最悪の事態――実験の根底からの瓦解――もありうると彼女は覚えていた。 参加者がどこに行っても、インベーダーが待ち受ける、そうなれば休める場所はなくなりもはやインベーダーに人は狩られるのみ。 その心配が、消失したのだ。 「本当に助かりますの……♪」 心からの笑顔をこぼすアルフィミィ。 これで、インベーダーは事実上、個体として浮遊、移動するタイプのもののみだ。 確かに、移動すればインベーダーと接触する恐れはあるが、先ほどよりははるかにましだ。 目に見えるわかりやすいかたちの脅威は残るが、潜在的に拡大する驚異がなくなった。 しかも、そのわかりやすい脅威も、自分、ガウルンたち、彼の者、そしてあの光で群れ単位で壊滅させている。 壊滅させられた地域は、インベーダーはほとんどでないだろう。そこに置いては、安全が確保される。 まだ、いくつか群れはあるかもしれないが、それらも参加者の人目につかないかたちで自分が処理すればいい。 「それにしても……」 最後に、もう一度、彼女はある参加者を見る。 それは――このバトル・ロワイアルを立て直した最大の功労者。 ――アムロ・レイ 人間一人の体のどこに、あれほどの力があるのか。遺伝子改造を受けたわけでも、特殊な因子を持っているわけではない。 純粋に人間と呼べる範疇の人間が見せた、自分にも難しい現象。人は分かり合えると信じ、叫ぶ男。 結局、道化以外何物でもない。自分たちゲームマスターを倒すと息巻いておきながら、やったのは結果として正反対なのだから。 所詮、自分たちに及ばない生き物なのだ。けれど―――― 「ちょっと……気になりますの」 果たして、彼女の言葉はなにを意味するのか。 小さな音を立てて、アルフィミィが消える。 後に残ったのは音なき静寂。そして虚空だけが広がっていた。 箱庭の中の殺し合い―――バトル・ロワイアルはいまだ崩れず。終わらず。変わらず。 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染。 機体状況:アインスト化。ディバイデッド・ライフル所持。機体が初期の約1,2倍(=30mより少し小さいくらい) EN80% 現在位置:F-6 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。 最終行動方針:??? 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。 ただしアインスト化および巨大化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。 ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。 実弾装備はアインストの生体部品で生成可能(ENを消費)。 備考3:戦闘などが行なわれた場合、さらに巨大化する可能性があります(どこまで巨大化するか不明)。 直接機体とつながってない武器(ディバイデッド・ライフルなど手持ち武器)は巨大化しません。 現在はギリギリディバイデッド・ライフルが使用できますが、これ以上巨大化した場合規格が合わなくなる恐れがあります。 胸部中央に赤い宝玉が出現】 【アルフィミィ 搭乗機体:デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:良好、アムロにドキドキ。 ちょっぴりまだ高揚。 機体状況:良好 現在位置:ネビーイーム 第一行動方針:バトルロワイアルの進行 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂】 ※禁止エリアにインベーダーが出現しました。 これ以上数が増えることはありませんが、操縦者のいない機体に取りつくとメタルビースト化します。 また、F-1エリアにゲッター線が高濃度で残留しています。 【二日目16 10】 →排撃者――表 BACK NEXT 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌! 投下順 時の結実――すなわち成長 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌! 時系列順 時の結実――すなわち成長 BACK NEXT 怒れる瞳 キョウスケ 貫け、奴よりも速く 怒れる瞳 アルフィミィ 第三回放送
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/61.html
追悼 ◆Y3PBSdzg36 ―――カティアちゃん… ふとメルアの声がした気がした (気のせいよね) カティアはMAPの南の方の町のほうに向かうことにしていた 理由はない なんとなくその方が逢えるかと思ったからだ できるだけ高度を上げ、目標に向かって飛び立っていった ―――しばらくして 「ひどい…!」 そこには大破した機体があった もう辺りには誰もいないようだが とりあえずバトロイドに変形して降り立つ 辺りを見回すと緊急離脱したのか穴だらけのコックピットが落ちていた 中を覗くとかろうじて女性と見分けられる死体があった 顔は無事であったので判別できたのである 女性の顔は悲しそうな顔をしていたが、気のせいか安らかにも見えた とりあえずコックピットを調べる 撃墜した相手との戦闘データを得ようとしたが機体が特殊でわからなかった (とりあえず埋めてあげよう) 機体で穴を掘りそこに死体を埋める そして数秒黙祷をささげた 目を開けた瞬間強烈な吐き気がカティアを襲う なんとかこらえ呼吸を整える 「私は、絶対に負けない!」 叫び、彼女は飛び立っていった 【カティア・グリニャール 搭乗機体:VF22S・Sボーゲル2F(マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:E-3 第一行動方針:7-Dに向かう 第二行動方針:仲間を集める 第三行動方針:統夜、テニア、メルアを見つける 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【時刻:14 00】 BACK NEXT そして騎士は走り出す 投下順 黄色い幻影 そして騎士は走り出す 時系列順 赤い彗星 BACK 登場キャラ NEXT 彼女の答え カティア 堕ちた少女
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/276.html
絶望の中の太陽 220 バトルロワイアル――殺し合い こんな絶望的な状況下でも、私の心はまだ折れていない。いまだ希望に満ち溢れている。 そう私、宇都宮 比瑪の心は!! ベガスに乗った比瑪は森の木々の隙間を縫うように飛んでいた。 武装が無いベガスでは、ゲームに乗った参加者に見つかる=死。イニシアチブを取る事が最重要課題だ。 逃げるにしても機動力には自信があるベガスだが、生身の比瑪では耐えられない。 レーダーに引っ掛かるわけにもいかない。出力をMinにしてギリギリの高さを飛ぶ。 「ねぇベガス君、このまま行けば街まで行けそうだね」 「ラーサ」 いつも通りの通じているのかどうか分からない会話が弾む。 順調だった。とても順調「だった」 だった…… 比瑪はつい先程までの何事も無かった時間、今まで生きてきた中で経験した記憶が意識と関係なく溢れ出てくる。 眼前の巨人が今から自分の命を奪う。 そう考えただけで心が折れてしまいそうになる。 「小生、このギム・ギンガナムと勝負しろ!!」 そう言って空から降り立った巨人、シャイニングガンダムは腕を組み仁王立ちしたままこちらを見下ろしている。 シャイニングガンダムが降り立ってから18年に等しい2分が過ぎた。 「ふんっ、興に乗らん。女を斬り捨てたとて、武門の名家に傷がつくだけだ。お主、今回は見逃してやろう。立ち去るがよい」 ギンガナムの声には少なからず落胆の色が混じっていた。 「見逃…す…?」 「そうだ、見逃してやる。それともここで殺し欲し 「あなた良い人ですね」 比瑪の口から出てきた言葉はギンガナムの予想外だった。 「何を言っ 「ですよね」 比瑪の絶望に染まっていた顔が輝きを放つ。 「いくら殺し合えと言われたからって、本気で殺し合う人なんて居ないですよね!!」 「おい、お主何を言っ」 「バトルロワイアル……。謎の強大な力によって集められた哀れな人間達。我を忘れる者。 悲しみに暮れる者。死に逝く者。そして強大な力に立ち向かう者。運命の歯車は今動き出す」 シャイニングガンダムはモビルトレースシステムを採用した新機軸の機体だ。 そのシャイニングガンダムが一歩退いたということは、ギンガナムが一歩退いたことを意味する。 「あなたのその誇りに満ちた態度、威厳ある声、当に獅子!!獅子とは繋いではおけない者……、 Mr.アンチェイン!!あなたはあの怪物を倒すため立ち上がるんですね!!」 妄想モードフルスロットルの比瑪の気迫が遂にギンガナムを追い詰める。 「小生は戦うために、ここに居るのだ、そのようなことはせん!!」 超ポジティブ比瑪にはそのような言い訳は逆効果だった。 「そう言いなが(はっ!もしかして盗聴を気にして警戒してるんじゃ…、うわぁこの人頭良いなぁ)」 超ポジティブ比瑪の自己推論、自己発展、自己完結の三大スキルをフル活用して導き出された答えは、 背を向けしゃがみ込む比瑪。 「そういうことだったんですね……」 「何がそういうことなのだ……」 この時、ギンガナムの武人たる誇りを兵法家としての本能が抜き去る。 逃走。 「私も連れて行って下さい!!!」 比瑪がもう一度シャイニングガンダムを振り返った時、そこには小さくなっていく巨人が見えた。しかし、 「行くよベガス君!今この瞬間に死んでる人がいるかもしれない。あの人はそれを見逃せないの(断定)。 私達に出来ることなんて無いかもしれない。だけど必ずどうにかなるよね!だって私達はオルファンとも解り合えたんだから!!!!」 逃げる巨人、追いかける(追い詰める)美少女。 実にシュールな光景であった。 【ギム・ギンガナム 搭乗機体 シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態 健康。電波怖い電波怖い 機体状態 損傷無し。移動にEN消費 現在位置 ifなんで特に設定無し 第一行動方針 比瑪から逃げる 第二行動方針 戦うに値する戦士を探す 最終行動方針 バトルロワイアルを勝ち抜く】 【宇都宮 比瑪 搭乗機体 ベガス(宇宙の騎士テッカマンブレード) パイロット状態 健康。ナチュラルハイ 機体状態 損傷無し。移動にEN消費 現在位置 ifなんで特に設定無し 第一行動方針 仲間を集める 第二行動方針 ゲームを壊す 最終行動方針 主催者と分かり合う】 【IF】 本編― ―
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/26.html
純真なる抗体、真紅の悪鬼 ◆9cdcQ8fLVY 「………」 殺し合い……か。 「……昔を思い出す、な」 負の感情を求め、戦いにばかり明け暮れていたあの頃。 もう、終わったと思っていたのに……また、戦わなければならない。 「………ジョシュア」 ジョシュア・ラドクリフ。 居るはずだ、この会場のどこかに。 「やはり、会いに行かないと、な」 そうだ。 ジョシュアなら何とかしてくれるはずだ。 「参ったな………」 アルバトロ・ナル・エイジ・アスカは、少なからず戸惑っていた。 グラドス軍からみんなを逃がすため囮に出たら………これだ。 「まずは何処へ……ッ!?」 レーダーに反応。慣れない巨体を動かし、視認する。 「………アレは?」 こちらには気付いていない、が……… 「………駄目だ!」 急加速。ブースターを点火し急降下。 「……ユウゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」 「!?」 上空からの強襲、何か、憎悪に満ちたモノが迫る。 ラキは………ラキの乗る蒼いブレンパワードは、とっさに動けず固まってしまう。 と、……… 「危ない!」 背後から体当たり。ブレンパワードよりも大柄なその機体。 「ジョシュア……?ジョシュアなのか?」 ラキは、見覚えのあるその機体、共に戦ったジョシュアの乗っていた機体、俗に……フォルテギガスと呼ばれるスーパーロボットに聞く。 エイジはビームハンマーを敵機体の居た方向に射出し牽制しながら、言う。 「違う!僕の名はエイジ、君は狙われている!早くここから逃げよう!」 「逃がすものかッ!ユウ!」 真紅の翼を携えた機体は……真ゲッター1は、ゲッターサイズでビームハンマーを切り払い追いすがる。 「クッ……バイタルジャンプは、他人も一緒に飛ばせるのか?……答えろ、ブレン」 蒼いブレン……ネリー・ブレンもブレンバーでチャクラ射撃、援護する。が、悪鬼のごとき真ゲッター1は、慣性機動を無視した動きで避ける。 (…………) (………ブレン、行けるか!?) 「……よし、掴まれ。エイジッ!」 「え?うわッ!」 「ゲッタァァァァァ!ビィィィィィィムッ!」 胸部展開、ゲッター線を収束した光条が二体の居た場所をなぎ払おうとした。が、 (………左!?) 「つッ!」 ……ドォォン!! 緊急回避。左方から質量砲撃、それから避けるため上空へ飛び上がる。が、完全には避けきれず脚部に披弾する。 「邪魔をォ………?」 クインシィは、砲撃のあった方向を見るが………誰も、いない。 レーダーの反応もない。 「何なんだ?………ッユウ!」 呆気に取られた間、ブレンパワードは消えていた。 「ぃい~ッやっほぉ~!」 クルツ・ウェーバーは喝采をあげていた。 「鬼さんこちらっ手の鳴る方へ~だ!へへっ、やっぱ見えてないでやんのっと」 ジャミングを最大限に効かせ、物陰に潜ったその機体。そう簡単には見付からないはず。なにより……… 「さすがの鬼にも遠すぎたかな~?」 隣のエリアからの、超長距離砲撃。クルツの狙撃の腕と、この機体の性能。慣性無視軌道を見切るのは初めてだが、何とかうまくいった。 「この俺を舐めんなよ………」 一方的な攻撃を見て、隙だらけだったから攻撃した。クルツにとってはたったそれだけのこと。 またしばらく、隠れて狙撃。 狙撃屋の本領発揮だ。 「鬼に見付からなきゃいいんだ……逃げるか」 クルツはまた、赤い砲撃戦機体……ラーズアングリフの計器類を睨みはじめた。 「………どこに行ったの」 ネリー・ブレンとフォルテギガスは、その場から消えていた。 バイタルジャンプ……ブレンパワードとグランチャーだけが使える、バイタルネットを介した瞬間移動法。 どうやらこの地にもバイタルネットは通っているらしいが…… 感じられるのは………違和感。 紛い物の大地、バイタルネットも、本物とはおもえないほど………そう、オーガニックさがない。 だが、 そんなこと、今は関係無い。 「ねぇ、どこに行ったの?私のユウ、私の……私だけを見てくれるユウ……」 真ゲッター1のパイロット……クインシィ・イッサーは、弟の幻だけを見つめていた。 先程、砲撃されたことなど気にもとめずに……。 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:健康 機体状況:少しEN減少、フォルテギガスの体当たりの時の傷 現在位置:??(バイタルジャンプにより何処かへと移動した) 第一行動方針:ジョシュアと合流 最終行動方針:未決定】 【アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ 搭乗機体:フォルテギガス(スーパーロボット大戦D) パイロット状況:健康 機体状況:少しEN消費、機体は無事 現在位置:???(バイタルジャンプにより何処かへと移動した) 第一行動方針:当面はラキについていく 最終行動方針:未決定】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター1(真(チェンジ!)ゲッターロボ~世界最後の日~) パイロット状況:情緒不安定 機体状況:脚部に披弾。飛んでいるため少々バランスが悪くなったこと以外問題無い。ゲッタービーム一発分のEN消費 現在位置:B-1 第一行動方針:ユウの撃破(ネリー・ブレンにユウが乗ってると思い込んでいる) 最終行動方針:とにかくユウを殺す】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:絶好調 機体状況:フォールディングソリッドカノン一発消費 現在位置:B-2 第一行動方針:近くにいる敵機を狙撃 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【時刻:12 30】 ※バイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べないということにします。 BACK NEXT DARK KNIGHT 投下順 天駆ける少女 彼女の答え 時系列順 天駆ける少女 BACK 登場キャラ NEXT ラキ ウルズ6 エイジ ウルズ6 クインシィ マジンガーZvsゲッターロボ! クルツ ウルズ6
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/203.html
解し得ぬ存在 ◆7vhi1CrLM6 実に不可解な現象が起きていた。首輪にだ。 AI1にかけた首輪の解析は捗ってはいない。変質パターンの解析は終わっていないのだ。 しかし、無為に時間が過ぎたのかというとそうではなかった。二種類のナノマシンが確認されたのである。 一つは無機質で機械的な物に生物的な特徴を付与したもの。恐らくは自己増殖のプログラミングを施されたもの。 もう一つは有機的で生物的なもの。こちらも侵食性を見せている。 両者は性質的に極めて近い。近いがゆえに相容れない存在だ。相手の領土を侵食しようと互いが互いを喰らい合っている。 おそらくは有機的なものの方がアインスト細胞なのだろう。玉の周辺により多く展開していた。 今のところは機械的なものの方が侵食力が強い。結果、首輪は徐々に異形からさらなる異形へと変化していっている。 ただしこれらは全て表層の変化である。視認可能な見かけの形状変化。それをナノ単位まで落としたものに過ぎない。 ゆえにどういった変化が生じているのかは分かれども、変化の規則性は現時点では見出せてはいなかった。二つのナノマシンの動きは複雑さを極めている。 これらの情報の中で重要なのは―― 「なるほど……このナノマシンの侵食力はアインスト細胞を上回っているのか」 そう。機械的なナノマシンがアインスト細胞の侵食力を上回っているという一点。 これは別の可能性を示唆している。 この機械的なナノマシンをコントロール下に置けばアインスト細胞の除去が行なえる可能性を秘めているということだ。 それに、それだけではない。弾頭にでも仕込み、着弾と同時に侵食させれば、あの化け物に対する切り札となりえる。 それだけの可能性をこのナノマシンは秘めていた。 「面白い」 唇を噛み締めて仮面の男は噛み殺すように笑う。 無論、そこに到達するためには幾つものハードルが存在する。ナノマシンの解析は必要不可欠である上に、自身の手で改良を施さなければならないのだ。 常識的に考えれば時間が足りない。時間を費やせば費やすほど犠牲者は増える。しかし、だ。 しかし、この男はただお気に入りの玩具を与えられた子供のように無垢な笑い声を上げていた。 ◇ レーダーに灯りが灯る。暗緑色の画面に映し出される光点。そこに添えられている文字はUNKNOWN。 それが電磁波の跳ね返りを受けるごとに瞬き、電子的な警告音を伴って場所を知らせてきていた。 その音に、知らず知らずの内に泥のような眠りに引きずり込まれかけていたベガは、ハッと目を覚まし、慌ててレーダーを見やる。 相対距離は20キロ未満。歩みは遅いが程なく目視圏内に入るだろう。 手早く情報を整理すると手を伸ばし通信コンソールのパネルに触れた。小気味のいい音を立てて通信がユーゼスの乗機ゼストへと繋がる。 「何事だ?」 「基地西部からアンノウン一機接近中。ユーゼス、どうします?」 「ふむ……そうだな、ローズセラヴィ単機で接触。信用が置ける相手かどうかの判断は任せるが、極力施設には近づけさせないでもらいたい。 それと私の援護は期待できないものとして当たれ。いいな?」 援護が期待できない――そこに僅かな引っかかりを覚える。ふと視線が絡む。 そこで感情を読み取ったのか、ユーゼスは首輪を指し示しながら言葉を重ねてきた。 「私の機体はこちらに回していて他の事に割く余力がないのだよ。無論、動きが取れるようになり次第加勢には出るが、余り期待しないほうがいい」 『メリクリウスは……』そう喉元まで出掛かった声を押し殺した。 きっと彼に考えがあるのだろう。理論的に物事を捉える人だ。メリクリウスのことを見落とすはずはない。 ならば、要らぬ詮索は必要ない。要るのはただ一つの言葉だけ―― 「……了解」 「では、健闘を祈る」 それで交わした視線は離れ、通信は砂嵐に塗れて閉じられた。胎の底に冷え冷えとしたモノが残り、僅かな嫌悪感が身に纏わりつく。 それを頭から振り払い―― 「彼は感情表現が不器用なだけなのよ」 思いなおした。 だから自分がしっかりせねばならない。その不器用さから起こる衝突をフォローしなくてはならない。 その為には誰よりもまず自分自身が彼を信頼すべきなのだ。それが彼が見せる未来に、道に身をゆだねると決めた者の最低限の責務なのだ。 そう思い定めると、迷いを振り切るようにローズセラヴィーをベガは発進させた。 ◇ 何かが頭上を通り過ぎる重音と駆動音が地下の天井を揺らし、鉄骨に吹き付けられた耐火皮膜がパラパラと降って来た。 それを両手を後ろ手に鉄骨に縛り付けられたままぼんやりと眺めている。 『俺の言葉はお前の言葉だ。俺の考えはお前の考えだ。 ……さぁ、もう一度聞くぞ。 ――お前は一体どうしたいんだ?』 あれからずっとその答えを考えている。そして、その最も単純な答えは見つけていた。 生きたい。そこに疑いはない。何の為に生きたいのか、その明確な目標もある。 アルに、クリスにどうしようもなく会いたいのだ。あの温かい日々が恋しいのだ。 だったらあの男の誘いに乗ればいい。そう思う。それしか生きる道はないのだ。 だが、それでもあの声が耳元でざわめく。 『殺して生き残って、それでもアルやクリスに会えるのか? 人殺しの癖に胸を張って会いに行くのかい?』 あの男の言うがままに動けば、死ぬことよりも更に恐ろしいことになる。 あのとき、感じたそんな予感。 人殺しなんかよりも遥かにおぞましいモノに加担してしまうのかもしれない。今、ひたひたと忍び寄ってくるそんな予感。 それを感じるだけに余計に言葉が詰まる。当たり前だったはずの答えが出ず、思考は堂々巡りを繰り返す。 結局は夢の中と何も変わりはしない。煮えきらず。流れ流される半端者。 そんな思考の波の中でバーニィはふと思った。 ――本当にあの男に従うしか、生きる方法はないのか? ◇ 通信を閉じたあと、シートに浅く腰掛け直すと体重をシートに預けてグッと体を伸ばした。 それだけのことをしてもコックピットシートは軋む音一つあげはしない。 中空を見つめて目を瞬かせたあと、口元にうっすらと笑みを浮かべる。 ――他の事に割く余力がない? 馬鹿を言うな。 通常AI1のメディウスの制御に割かれているものまで総動員して首輪を解析するなど、自らの身の安全を丸ごと他人に委ねるなど、誰がそんな馬鹿げたことをするものか。 あんなものはただの口実だ。 接近してくる機体とローズセラヴィー、二つの機体のデータを収集しAI1に学習させる。そのための口実だ。 「その程度ことも見抜けないとは……自ら目を塞いだか」 本来ならば、この程度の嘘など軽く見破るだけの洞察力を備えた女であるとユーゼスは見ている。 にもかかわらず、見えていない。いや、見えてはいるのだろう。しかし、そこから必死に顔を背けている。 人は自らが見たくないものを見ようとしない習性があるという。 これがまさしくそうだ。 『信頼』などという形のないモノに囚われて、目を塞ぐ。それも四方八方の者に対してだ。 実に愚かな行為と言えるだろう。だが、それだけに―― 「……惜しいな」 そう思わずにはいられない。自分のみ忠誠を誓い、他の者に対して非道に徹しきれれば、どれほど有能な駒となれるものか。 才を活かしきれぬ者。それが残念でもあり、不憫でもあった。 「まぁいい。今はメディウスの……いや、ゼストの糧となれ」 呟く。これからの行動は全てAI1に解析され、フィードバックされる。ベガの動きも、新手の動きもだ。 才を活かせぬ存在とは言え、AI1の教育には利用できる。その上で戦況如何では介入も辞さない心構えだった。 そして、もし万が一相手の機体の必要性をAI1が、いやユーゼスが感じたそのときは―― 「ッ!!」 瞬間、コックピット内に響き渡った警報に顔を上げた。 咄嗟に目を走らせたディスプレイが真っ赤に染まるのを確認して、思わず唇を噛み締める。 ――ウィルスだとッ!! 手元に引き寄せたキーボードを素早く叩き、撃退ワクチンを投入する。 リセットされる警報に胸を撫で下ろしたその瞬間、再び警報がざわめきを発した。 ディスプレイが防壁突破の事実を指し示す。 舌打ち一つ。無意識下で複数のワクチンを投入しながら頭を巡らせたユーゼスは、解析中の首輪を睨みつけた。 その周辺はベンゼン環を思わせる六角形の金属片に変質している。侵入経路は疑うべくもない。 再び唇噛む。ワクチンなど何の役にも立ってはいなかった。侵食力が強すぎる。 打つ手がなく、AI1の中枢プログラムへと侵入が開始される。 その時だ。ラズナニウムの自己修復プログラムが起動を果たした。 ラズナニウムの自己修復プログラムはあるべき状態に機体を保つためのプログラムである。 正常な状態に機体を維持するべくラズナニウムが活性化する。 それがナノマシンを押さえ込み、ソフト面とハード面両面からの侵食を押さえ込みにかかった。 だが、まだ弱い。 AI1の中枢プログラムまで侵入しかけたウィルスの進行を押さえ込むことには辛うじて成功した。 だが、それは辛うじての均衡だ。 膨大な数の防壁の敷き合いと崩し合い。それがAI1とナノマシンの演算の元行われている。 奪われては奪い返す。その均衡は、剣切っ先を突き合わせて全力で押し合っている形によく似ている。 一度切っ先がずれればどちらの胸元に剣先が突き刺さるかは分からない。 そんな簡単に崩れ去る均衡だった。 事実、均衡は簡単に崩れ去った。一連の流れの傍らで作成した自作のプログラムをユーゼスが走らせる。 それがAI1の一助となりナノマシンの侵食を徐々に押し戻し始めた。そして、それはすぐに抗い難い勢いとなりメディウス・ロクスを正常な状態へと戻していく。 程なくウィルス駆除完了をディスプレイが告げた。告げたかに見えた。三度、警報は鳴り響く。 首輪の解析開始と同時に侵入し、これまで各所に潜伏していたウィルスが同時に侵食を開始したのだ。 もはやどことは言わない。 目に留まるコックピットの周辺だけですら、至る所からナノマシンが侵食を開始し、変質させていく。 その勢いは完全にラズナニウムの自己修復能力を上回り、AI1は自己の中枢プログラムの防衛をユーゼスの手を借りて辛うじて死守している状態だった。 だが時間の問題だ。十重二十重の防壁が数秒も持たない。時間稼ぎが精一杯。その事実がユーゼスに呻き声を漏らさせる。 「……馬鹿な。この私がたかがナノマシン如きに敗れるというのか・・・・・・。 何故だ。何故……何処で間違った!」 が、次の瞬間、コックピットの床から吹き上げてきた緑の蛍火が場を満たした。 それが下から上へと溢れ出す。何かに呼応するように明度と輝度を増し、活性化していく。 その光が突き抜けていったとき、場の至る所に浸食していたナノマシンは首輪に完全に押さえ込まれていた。 一連の出来事に呆気に取られたユーゼスは、それでも頭の隅を働かせて考えていた。 恐らくはこれで解析は一気に押し進むだろう。 一度侵入を許し変質しかけたメディウスにはその痕跡が残っているはずであり、解析パターンの一助となりえるはずだ。 しかし、しかしだ。 自己の理解の届かぬ範疇の出来事。自身がただ何かに踊らされたかのような出来事。 それが気に入らない。絶対的に気に喰わないのだ。 だが、もうどうしようもない。全ては自分の手の届かぬところで起こり、終わってしまったのだ。 それゆえに歯を食いしばり、悔し紛れに呟くことしか、ユーゼスには残されていなかった。 「……全て計算通りだ」 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状態:苛立ち 機体状態:第二形態 竜馬の接近に伴いゲッター線活性化 良好 現在位置:G-6基地 第一行動方針:半壊した首輪の解析 第二行動方針:AI1の育成、バーニィへの『仕込み』 第三行動方針:首輪の解除 第四行動方針:サイバスターとの接触 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み) 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】 【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー) パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼) 機体状態:良好 現在位置:G-6基地西部 第一行動方針:接近してくる者(竜馬)との接触 第ニ行動方針:G-6基地の警護 第三行動方針:首輪の解析 第四行動方針:マサキの捜索 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出 備考1:月の子は必要に迫られるまで使用しません 備考2:ユーゼスの機体を、『ゼスト』という名の見知らぬ機体だと思っています 備考3:ユーゼスのメモを持っています】 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:なし パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている 現在位置:G-6基地地下発電所 機体状態:苦悩 第一行動方針:ユーゼスに協力するのか選択 最終行動方針:生き残る】 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:怒り、衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部・右腕喪失、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置:G-6西部(基地外) 第一行動方針:G-6基地で機体の整備 第二行動方針:クルツを殺す 第三行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ 備考1:ゲッタートマホークを所持 備考2:百式の半身を引き摺っている】 【メリクリウス(新機動戦記ガンダムW) 機体状況:良好 現在位置:G-6基地内部】 【二日目4 30】 BACK NEXT Shape of my heart ―人が命懸けるモノ― 投下順 ヘヴンズゲート Withdrawal Symptoms 時系列順 ハンドベノン BACK 登場キャラ NEXT 『未知』と『道』 ユーゼス 穴が空く 『未知』と『道』 ベガ ハンドベノン 『未知』と『道』 バーニィ 穴が空く 私は人ではない 竜馬 ハンドベノン
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/363.html
伏せた切り札 全ては己が目的のために ◆ZqUTZ8BqI6 さて、どうする? ガウルンは、放送を聴きながら思案する。 お互い、手を組む要件で今のところは決まった話し合い。 お互いの手札はもう開ききり、現在の情報を共有した――ように見える。 しかし、それは違う。ガウルンは、手の中で白い粒を転がす。 それこそが、明かさなかったガウルン最後の札。 首輪の機能を一時的にカットする――つまり首輪の機能を停止させる魔法の錠剤。 服用すれば何か強烈な副作用があるらしいが、そんなデメリットは飲まなければ当然ゼロ。 つまり、解析する分には何の問題もないということだ。 機能を抑制する錠剤をもしユーゼスが手に入れたら、それこそ首輪はあっという間に外れかけない。 (それはお寒いねぇ、白けるってもんだ) もしかしたら数分で外れるかもしれない。だがそんなことをして何が面白いのか。 自分もこの機体の受諾など随分とルール外のことをやってはいる。いるが、それでもだ。 折角ルールの内側で必死に集めたもので、知恵の輪を解こうとしている相手に答えを教えるなんてつまらない。 ユーゼスのやろうとしていることに興味はある。 しかし、それは首輪が取れる取れないではなく、純粋にユーゼスの行動に対してだ。 正直、ガウルンからすれば首輪を外す必要性すらほとんど感じていない。 別に、ここにいる全員を潰し合わせて帰るというのも方法の一つとしてあるし、事実彼はそれを狙って動いてきた。 自分がいままでの行動方針を曲げてユーゼスと組むだなんておとなしいことをするはずがない。 ユーゼスもそれは承知の上だろう――そうでなければ随分と馬鹿だ――し、アキトは重々理解している筈だ。 しばらくの方向は協力。首輪が外れなくても首輪が外れても、どっちにころぼうが適当な時にユーゼスとはおさらば。無論、永遠の。 首輪を自力で外せるほどの人間なら、手を組み続けるもやぶさかでもないが、それはうまみが少ない。 ユーゼスは、せっかく手に入れた手駒を放そうとはしないだろう。 そうでなければ、折角のとっておきも、最悪食いぞこなってしまう。こんなもったいない話はない。 とはいえ、ユーゼスを沈めるのは手がかかりそうだ。自分ひとりでやるのは阿呆だろう。 当面のチャンスとしては、向こうの戦艦との潰し合いの時がベスト。 それにどうせ、ユーゼスも裏切るだろう。 ガウルン、その経験則による絶対の確信。理屈は、簡単だ。 ユーゼスの機体は、相手を食えば食うほど強くなる。 そのために、Jアークにいる連中の機体を食いたいとユーゼスは言う。 そしてパイロットはいらない、と。 あえて突っ込まなかったが、ガウルンにはすぐに分かった。 ――じゃあ、Jアークを食った後は俺たちか? ユーゼスは、他人なんて必要としていない。 せいぜい道端に転がる小石、もしくは使い捨ての駒か。その程度の価値しか見出していない。 仮面からちらちら覗く目を見るだけで簡単に察することができる。 しかも、言動もガウルンの予感そのままだ。 自分以外どうでもいい――自分以外残す必要はない。 そんな奴が、わざわざ目の前に残った「餌」を食い残すことがあるだろうか。 はい、シンキングタイム一秒。答えは当然NO。前提さえありゃガキだって即答できる質問だ。 統夜みたいは駆け出しにはちょっと酷だが、だまし合いの場数さえ少し踏んでいれば簡単に理解できる。 ガウルンが、口を釣り上げたまま、ちらりとヴァイサーガ――統夜を見る。 とても、そこまで頭は回っていないようだ。 さっき、こちら3人で行動することを提案したことは正解だった。 とりあえず、ユーゼスが消えたらそこらへんを話すとしよう。 連中が死者を生き返らせることができるとかそこらへんを交えて。 アキトは……気付いてるだろ。おそらく、こっちが手を返せば、そこらは合わせるだろう。 自分への復讐一念で、こっちと戦うためユーゼスにつくってケースもあるが……それはそれで。 この薬は、絶対に渡さない。 ユーゼスが、だれも逆らえないような絶対な立場をそうそう作らないように。 手元に届いた名簿をぱらぱらとめくる。指さし、一人一人確認する。 妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、ガウルンはガウルンらしく。 薬というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をガウルンは維持し続ける。 ◇ ◇ ◇ さて、どうする? アキトは、放送を聴きながら思案する。 はっきりアキトの心情を言おう。一分でも一秒でも早く、ガウルンを殺したい。 だが、それではいけないのだ。このユーゼスがいる限り、絶対にできない。 ギリリ、と奥歯が噛み砕けんばかりに歯を食いしばる。自分が優勝するためには、ユーゼスの薬が必要なのだ。 あと1錠では、次の戦い――おそらくJアーク掃討戦――で底が尽きる。 自分の勝ち残りの可能性、引いては自分自身の生存率はユーゼスが握っていることになる。 元はと言えば、アキトは優勝するため、ユーゼスは自分の生存のためと対等に、共犯者として結んだ協定だったはずだ。 なのに、気付けばその主従ははっきりと形として現れ、自分はユーゼスのいいように使われる人形と化している。 アキト自身、優勝を捨てたわけではない。 あのノイ・レジセイアは、ユリカを生き返らせてくれる保証はないが、死者を生き返らせるだけの力を持っている。 ユーゼスは、ユリカを生き返らせてくれる保証以前に、死者を生き返らせるだけの力を持てるかも不明だ。 このまま、ユーゼスと行動し続け、ユーゼスの言うとおり行動する。 なるほど、生存のためなら非常に魅力的なプランだろう。――ただしユリカが生き返るかはかなり微妙なラインだ。 これでは、意味がない。ユーゼスとともに行動し、ノイ・レジセイアを倒し、元の世界に帰ってもユリカがいなければ意味はない。 ノイ・レジセイアを倒すか倒せないかは、ユーゼスの都合であって、アキトの都合ではない。 だが、優勝が遠い。 この巨大な機神を駆るユーゼス。 異常なまでの力を行使するキョウスケ。 そして、無傷の特機を手に入れたガウルン。 この全員の息の根を止める? どうやって? アキトの前にあるのは、二つの道。どちらも険しく絶望しか見えないような道だ。 ユーゼスに従い、比較的平易な道を進む。ただし、ユリカは返ってこないかもしれない。 優勝をめざし続け、全てを殺す。 ただし、方法すら見えてこない。 ユーゼスを殺すことは、薬を放棄すること。薬を放棄すれば、優勝は消える。 しかし、ユーゼスを残し、一対一か二対一といった状態に持ち込んだとして、勝てるとは思えない。 放送が流れだす。 機体を修復した少女の声。 皮肉にも、彼女が修復したアルトアイゼンはキョウスケの手に渡り、彼女たちを脅かす存在になり果てた。 放送の内容に従い、名簿が手元に転送される。その名簿を眺め、視界のゆがみに目をこする。 この体が五体満足ならば。戦うことができるならば。 ――ユーゼスを切ってしまうこともできるというのに。 目をこするため、黒い矯正機を上に押し上げる。 そして、気付く。 クリアになる視界。矯正機を外したほうが明確になる世界。懐かしい色の概念が、目に飛び込む。 信じられない出来事に、目を見開き、何度も目をこする。世界は変わらない。まったく、変わらない。 矯正機を外し、名簿に視界を落とす。――読める。何もかも。字のフォントの僅かなとめはねまで見える。 手が震える。気付く。今、この出来事に手を震わせている自分。つまり、この出来事がなければ、手が震えていなかった自分。 手に力を込め、握る――開く。しびれはない。震えはない。それどころか、手の感触もはっきり感じる。 今思い当たる――ここまで、自分はユーゼスの手を借りず、かなりの速度で飛んでいた。もはや、平時と遜色ない。 感覚が、五感が還っている。しかも、視界から推理するに健常者並みに。 アキトは、ディバックに手をおもむろに突っ込んだ。鞄の中をかき回し取り出したのは、固形食糧。 箱には、カロリーメイトチョコレート味と書かれていた。アキトは、その封を切り、そのまま口に放り込んだ。 涙が頬を伝った。涙は自然と溢れてきた。 お世辞にもうまいとは言えない。ぼそぼそとして、水気がない。気持ちチョコのような味がするだけだ。 けど。だけど。まずいと、分かる。味が、分かる。もう二度と戻ることはないと思っていた味覚が、ある。 ぐちゃぐちゃに頭をかき回され、奪われたモノ――料理人としての夢と、最愛の人。 過去は還らない。自分のやったこと、憎しみは消えない。 けど、諦めていたものが還ってきた。還ってきたのだ。 掌にある、小さな錠剤を眺める。自分の体に変化を与えたものは、間違いなくこれだ。 今思い返せば、薬を飲むたびに、回復していたのかもしれない。 ――そう言えば、ユーゼスとともに遠方を確認した時、健常者並みに見えていた。 ただ、自分が気付けなかっただけで。バッドトリップも、程度がどんどん軽くなっていた。 最初は手足を震わせることしかできなかったが、先ほどのそれは、暴れるだけの余力があった。 今でも、健常者とほぼ同じ。最期の一錠を服用すれば、バットトリップはいくらかあるだろうが、その後は…… もう、薬はおそらく必要ない。少しずつ現状を回復させるならば、そう言わず説明をすればよかったろうに。 内心アルフィミィに僅かに毒づくが、ある意味納得もする。 アルフィミィは、ガウルンにも同様に強力な機体を与えていた。戦える素質あるならば、その力を与えていた。 自分には、特機を渡さない代わりに、加えて薬を渡した。薬は、あの特機のかわりだった。 ――勝てる。 アキトは確信する。無論、優勝へのプランが見えたわけではない。 だがそれでもこの状態は見るべきところがある。それはユーゼスの不意をつけるかもしれないことだ。 やつは、相も変わらず自分は薬がなければ木偶だと思っているだろう。 そして、薬ある限り自分に逆らわないと思っているだろう。 その傲慢を、撃つ。撃ち貫く。そして、奪う――あの機神を。 別に機体の損傷を気にする必要もない。あれは、コクピットだろうと再生するのを自分は見ている。 ユーゼスの首を確実に描き切る瞬間まで顔を伏せ、そしてユーゼスの全てを奪うのだ。 名簿を見る。全部でわずか17名。つまり殺すべきは現状16名。ユーゼスを殺した時点で最低15名。 いや、それまでの乱戦でさらに減るだろう。せいぜい10人か。 それならば、このゼストの力で押し切れる。 優勝への光明。今、それを悟られるわけにはいかない。 静かに涙をぬぐいアキトは黒い矯正機をかける。黒の下に眠る虹色を知られないように。 いいさ、ユーゼス。今は犬になってやる。お前の最期まで、従順な犬だ。 お前が隙を見せたとき――俺が猟犬として牙を見せた時、お前はもうこの世にはいない。 キョウスケ・ナンブにやったこと。忘れてはいないだろう? 取り戻すのだ。全てを。そして過去を清算するのだ。 愛する人と、夢を再び両手に掴むために。 自分の五感の回復を誰にも悟らせてはいけない。 手元に届いた名簿をぱらぱらとめくる。指さし、一人一人確認する。 妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、アキトはアキトらしく。 五感の回復というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をアキトは維持し続ける。 ◇ ◇ ◇ さて、どうする? ユーゼスは、放送を聴きながら思案する。 まず、自分たちは他者に先駆けて会談の地にいかなければない。 会談の主催者としてまず先に行き、地形やそこにあるモノをしっかり検分する。 そう、会談の地はそのまま奴らの墓場となるのだ。 けして逃がさず、完全な形でラプラス・コンピューターを手に入れるためにも、事前に全てを知りつくすのだ。 敵のデータ、地形、状況、一人一人の思想……分かる限りすべてをユーゼスは頭に叩き込む。 ――それじゃお待ちかねご褒美発表タイムですの。やっぱり目標があったほうがやる気も出ると思いましたので、特別に名簿をプレゼントしますの! 残りの人たち全員の名前が書いてある特注品、受けとってほしいですの。水や火からは離れて待っててくださいの。再度支給はなしですの。 その言葉を聞き、僅かにモニターから視線を外し、周囲を探す。 「……?」 転送は、放送が終わった後かと思い、少し手持ちぶさながらも待つ。 放送はすぐに終わった。しかし、何かが手元に届いたようには見えない。ディバックの中に転送されたかと鞄をあさる。 ない。そんなものは、どこにも見つからない。 名簿は転送されていないのか? いや、主催者サイドは、送ると言っている。 僅かに考えを巡らす。 ガウルンは聞いてもまともに答えない。 アキトは答えるかもしれないが嘘が混じったとき分かりにくい。 相手は、自然とお人よしそうで愚鈍な青年へ。 「統夜。名簿の記述を読み上げろ」 突然声をかけられ、少し声を裏返させながらも、統夜は答える。 「な、なんでだよ。あんただって名簿は持ってるだろ?」 「内容にズレがないかの確認だ。主催者側が意図的に情報を改ざんし、個別に送っている可能性を調べる」 考える暇も与えない。一拍の間もおかずユーゼスは言いきった。 相手に、いらない勘ぐりをあたえさせない。統夜も、不満げではあったが、名簿を読み上げ始めた。 読み上げる名簿がある――つまり名簿を持っている。 ユーゼスは、正確に統夜の読み上げる名前を記録していった。 統夜が読み上げ終わると同時に、ユーゼスは他の面々の顔を見回したあと、確認を取る。 「全員、齟齬はあるか?」 にやにやと笑みのまま「さぁ?」と言わんばかりの表情の男が一名。 首を横に振るものが二名。どうやら、内容に差異はないようだ。 どういうことだ? 内容に差異がないことを確認できる――イコール名簿を持っている。 何故か自分だけは名簿が転送されていない。原因を、ユーゼスは黙考する。 まず、真っ先に考えたのは、自分が主催者にとって目障りだからだ。気に食わない、だからこその嫌がらせ。 だが、その可能性を即座に切って捨てる。 主催者は、たしかに参加者全員に平等に接しているとは言い難い。 それでも、ゲームを進めるにあたって最低限の平等守っていた。 なにか異常事態がない限り無干渉で、全員に干渉するのは放送のみ。 そして、その放送で告げた内容を実行しないなど何かがおかしい。 第一、なにか自分に危機感などを覚えているというのなら、こんなすぐに取り戻せるような些細な嫌がらせでは済まないだろう。 首輪を爆発――はない。キョウスケが生きている以上、生死はルール上の規則以外では処理しないのだろう。 そうだとしても、いくらでもやりようはあるように思える。それこそ、空間転移の力で機体を破壊するのもいい。 直接、余った無人機でつぶしに来るのもいい。 ルールを破るなら、方法は選り取り見取りだ。 だというのに、わざわざ自分にだけ転送しなかった理由。 考えるが、ほぼないに等しい。 となれば、逆か。「転送しなかった」のではなく、「転送できなかった」。 そう考える。では、何故転送できなかった。 転送する位置が分からなかった。もしくは、自分の存在に気付かなかった。 これは考えにくい。なぜなら、これだけの大規模グループで動いておいて、そのメンバーを見過ごすなどあり得ない。 単独で行動し、うっかり忘れていましたというのも考えようだが、首輪で監視している以上集団が分からなかったというのは変だ。 自分の存在に気付かないはずがない。第一、グループの中でないのは自分だけなのだ。 違う、と判断できる。 転送したが、転送されなかった。 これは電波で例えるならば、発信はしたがこちらは受信できなかったという場合だ。 つまり、全員に向かって一斉送信はしたものの、自分の首輪だけは受信機能に破損があり、届かなかった。 これなら、他者全員に同一のものがあるのに、自分だけない理由にはなる。 だが、今度は、これはこれで問題がある。 何故、自分の首輪の機能が壊れているのか――ということだ。 自分の首輪に細工をした覚えは一切ない。正直、破損する理由がないのだ。 気付いたら自分の首輪の機能が壊れていました、と信じて喜べるほど頭が足りない人間ではない。 比較するべきだ。自分の首輪、つまりは自分が経験しており、他者にない経験を。 まず思い浮かぶのは先ほどの戦いでのゲッター線だった。現状、首輪の解除にもっとも役立つと思われていた存在。 それを、ユーゼスはF-1で大量に浴びた。 これは、違う。これで首輪の機能が停止するというなら、自分だけでなくガウルンとアキトの首輪も止まっていなければいけない。 次に思い浮かんだのは、ガウルンにも伝えた、空間と首輪の解除、その両方の鍵になると思われる熱気バサラの歌。 これも、やはり違う。あれを、あそこにいた全員が聞いていた。自分だけではない。 では、それ以前か。 ラーゼフォンを取り込んだとき。いや、体などには何もなかった。 しかも、自分はラーゼフォンの機能を熱気バサラのように引き出していない。 さらに遡る――思い当たる。 「そうか……あの、時」 そう、首輪の解析とともに、始まった謎の侵食。食い合う異常な細胞同士のせめぎ合い。 あのまま進めば、自分の首輪にまで浸食が進むと追い詰められた。だが、それを救った存在があった。 ゲッター線だ。ゲッター線が、全てを抑え込み、正常に戻した。 その時、首輪は多少変質し――機能が停止した。ユーゼスは、その何らかの原因を探ろうとしていた。 形状の変化という目に見えて分かる変化があったために、そこに注目し、今まで頭の外に追いやっていた。 首輪の機能を停止させ、機体を正常に戻した緑色の輝き――ゲッター線を己も浴びていたことを。 あの時、空間を閉じるのに作用したゲッター線と、首輪の機能、侵食を停止したゲッター線では効能などが微細に違ったのだろう。 死者を蘇生する場合の力もあるなど、まったくその本質は見えておらず、単純にその力の発露しかないため分からなかった。 ウインドウに、自分の姿を映し、そっと服を下げ、首輪を露出させる。 本来、血の色に輝き脈動するはずの宝石は、黒ずみ光を失っている。 もう一度統夜――首がよく見える――を見る。その首輪の宝石は、赤々と輝いている。 自分の首輪と統夜の首輪の差異。それで、確信する。自分の首輪の機能が停止していることに。 一つ言っておこう。 このユーゼスの推論は間違っている。停止したのはF-1の戦いのときであり、原因もゲッター線化は不明だ。 間違いも混じったもので、あくまで推論以上でも以下でもない。 だが、ユーゼスの首輪が停止しており、ユーゼスがそれに気付いたことには間違いない。 「さて……話の細部を詰める件についてだが」 ユーゼスは、さらなる高まりを押さえ、話を切り出す。 「こちらは私とアキト。ガウルン、そちらは統夜とテニア……ということでよかったか?」 提案の確認を、ユーゼスはガウルンに振る。 こうなれば、ガウルン達とは離れたい。一刻も早く、首輪の状態を確認し、外したうえで理論を構築する。 後ろからばっさり切られかねない狂人は現状いらない。 アキトのような薬のため逆らえず、首輪をはずす実験台にもできる存在一つあればいい。 そのほうが、注意する対象がアキト一人ですむ。 「ああ、そうだよ。で、いつパーティの会場に行けばいいだ?」 「24時の会談の前に、来てもらえればいい」 戦闘が始まってから、飛び込まれてはたまってものではない。 無論、素直に守るとも思えないが最低限釘を刺す。 「ところで……これを見りゃわかるがどうやら俺たちと、奴らと、あの化け物しかいないようだな。 まあ、適当にお譲ちゃんの要件をこなしてそっちに行くさ。ただし、あの青カブトは遠慮させてもらうがね」 「それでいい。勝ちが確実に見えるまであれ相手は撤退したほうがいい」 妙に話がかみ合うことに違和感を覚えながらも、ユーゼスは最後の詰めに入る。 お互い、情報を伝え切り、大まかな予定を伝えた。 両者が分かれたのは、その30分後のことだった。 首輪の停止を誰にも悟らせてはいけない。 手元に届いたデータを確認。指さし、一人一人確認する。 妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、ユーゼスはユーゼスらしく。 首輪の停止というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をユーゼスは維持し続ける。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(バンプレストオリジナル) パイロット状態:疲労(小) ハイ 機体状態:EN残量100% データウェポンを4体吸収したため四肢が再生しました。 第三段階へ移行しました。 デザインの細部、能力(相転移砲などが使用可)が一部違いますが、基本MXのそれと変わりありません。 現在位置:B-2 第一行動方針:E-3に先んじて向かい、準備を整える 第二行動方針:AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第三行動方針:サイバスターのラプラス・コンピューターの回収 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 】 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:五感が明瞭 意識の覚醒 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可)ゲッタートマホークを所持 現在位置:B-2 第一行動方針:ユーゼスと共に行動し、優勝を狙う 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスの首を取る。ゼストを手に入れる。 第三行動方針:キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を2錠所持 (内1錠はユーゼス処方) 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可】 【ガウルン 搭乗機体:ダイゼンガー(バンプレストオリジナル) パイロット状況:疲労(小)、全身にフィードバックされた痛み、DG細胞感染 機体状況:万全 現在位置:A-2 第一行動方針:存分に楽しむ。 まずはインベーダーで慣らしつつ疲れをとる。 第二行動方針:テニア、ユーゼスはとりあえず適当なところで殺す。 第三行動方針:アキト、ブンドルを殺す 第四行動方針:禁止エリアのインベーダー、基地のキョウスケの撃破 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考1:ガウルンの頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 備考2:ダイゼンガーは内蔵された装備を全て使用できる状態です 備考3:謎の薬を一錠所持。飲めば禁止エリアに入っても首輪が爆発しなくなる(飲んだ時のペナルティは未定)】 【紫雲統夜 登場機体 ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:精神的に疲労 怒り 機体状態 左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN70% ガーディアンソード所持 現在位置:A-2 第一行動方針:インベーダー、キョウスケに対処 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスと協力。でも信用はしない 最終行動方針:テニアと生き残る】 【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル) パイロット状況:焦り 機体状況:左腕喪失、左脇腹に浅い抉れ(修復中) EN50%、EN回復中、マニピュレーターに血が微かについている 現在位置:A-2 第一行動方針:インベーダー、キョウスケに対処 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスと協力。隙があれば潰す。 最終行動方針:統夜と生き残る 備考1:首輪を所持しています】 【二日目 18 30】 BACK NEXT 貫け、奴よりも速く 投下順 銃爪は俺が引く 貫け、奴よりも速く 時系列順 銃爪は俺が引く BACK 登場キャラ NEXT もう一つの対主催 ユーゼス 銃爪は俺が引く もう一つの対主催 アキト 銃爪は俺が引く もう一つの対主催 ガウルン 竜が如く もう一つの対主催 統夜 竜が如く もう一つの対主催 テニア 竜が如く
https://w.atwiki.jp/suparobobuast/pages/58.html
スパロボTRPG完全版 サンプル敵ユニットデータ スパロボTRPG完全版 サンプル敵パイロットデータ
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/284.html
少年の決意 189 2スレ目の153を見た瞬間、思わず書いてしまった。反省はしていない。 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん… 最初の定時連絡の時間となったので放送を始めますの。 まずは死んでしまった人たちの報告からですの…』 …エクセレン=ブロウニング …メルア=メルナ=メイア …グ=ランドン・ゴーツ …ラクス=クライン 戦闘を乗り切り、一息入れられると思った矢先に、 彼にとって最悪の事実が伝えられた。 簡単に予想される事だった。彼女はこのような馬鹿げた話に 乗るような人間では無い。むしろ、平和的解決のために、動くであろう 事は最初から分かっていた。そして、考えたくも無い事ではあるが、 ゲームに乗った人間からすれば彼女は格好の的だ。 そして、最悪の予想が現実となった。 声も出ないし、涙も出ない。悲しみ、そして怒りが大きすぎて 心がフリーズしているような感覚だった。心の自衛機能が働いているのだろうか。 そんなどうでもいい事を考えている所に、更に言葉は続く。 『乗らない方もいますのでやる気を出してもらうために ご褒美のことを説明いたしますの。ご褒美は、死んでしまった方を生き返らす ことから世界の改変まで望むがままですの。なので、みなさんちゃきちゃき頑張って欲しいですの』 死人の復活は元より世界の改変も可能…… 彼女はそう言った。 例えば、トール、フレイ、ムウさん、自分達を逃がすために死んで行った第7艦隊の人たち、 フレイのお父さんたち、シャトルの避難民の人たち…… いや、世界の改変と言うのならそもそも戦争の原因となった血のバレンタインすら 防ぐ事も出来るじゃないか。そうだ。全てはあれが原因だ。 友人と銃を向け合い、それぞれの友を奪って殺しあって、大切な人たちを失って…… それだけの血を流し、多くの物を失いながらも、また銃を向け合おうとする者は消えず、 近い内に再び戦争が起きるかもしれない明日に脅える……そんな世界を変えられると言うのか? そう考えるなら確かに魅力的な話ではある。だが、このゲームに乗るという選択肢は ラクスへの裏切りになるのではないだろうか? いや、待て。彼女は「願いは一つ」とは言ってない。 ならばこのゲームの参加者全てを生き返らせ、然る後に世界の改変を 願えばいい。そうすれば、全て大丈夫。誰も死なない。 その先には誰も死なない世界を作り出せる。 いや、それだけでは駄目だ。自分の機体、ジョナサンの機体、他の参加者の機体を 見る限り、未来、もしくは違う世界の技術を使ったとしか思えないような機体ばかりだ。 つまり、それはこのゲームの主催者が時を超えるどころか、時空すら超える力を有している事をも証明しているのでは? だったら………用済みになったら主催者も殺さないといけないんだ。 そうだ。あんな危険な存在が許される筈が無い。もし、このゲームが終わっても、 また同じ事を繰り返さない保障は無い。それに、ラクスが死んだのは誰のせいだ? 言うまでも無い。僕達をこんな狂った戦いに巻き込んだ主催者だ。 人を殺すのは嫌いだ。だけど、アレは人じゃない。只の化け物だ。 なら、殺した所で罪になる事も無い。 だから覚悟を決める。再びこの手で他人の命を奪うという覚悟を。 横には、気絶したジョナサンが乗るJアークがいる。その気になればすぐに 殺せるが、それにはまだ早い。確かに自分の乗る機体は悪くは無い。 だが、こんな状況なら仲間を集めようとする人間はいくらでもいる。 自分だってそうした。エネルギーを気にせずに戦えるフリーダムならともかく、 この機体は補給も必要だ。徒党を組んだ相手を敵にするなら、こちらも 徒党を組む方が効率的であるのは明白。利用するだけ利用して、 最後の最後に裏切ればいい。 そうさ、僕は辿り着く。誰も成し得なかった本当の平和な世界を築く存在に 僕は………新世界の神になる! 【キラ・ヤマト 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:C-5 第一行動方針:ジョナサンの回復を待ち、信用を得る 第二行動方針:役に立ちそうな手駒を集める 最終行動方針:優勝し、願いを叶えた後用済みになった主催者を排除し、新世界の神となる】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:気絶中 機体状態:キングジェイダーへの変形は不可、左舷損傷軽微 現在位置:C-5 第一行動方針:クインシィの捜索 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 本編86話 キラ